
「新しいまちづくりを目指して」
高田清太郎 サポーターズ倶楽部・会長 × 秋山孝 館長 対談
●新しいまちづくりを目指して
高田 新しいまちづくりを目指して、高田建築事務所が開発している「リプチの森」には20家族が住んでいますが、これからのまちは、住宅だけでなく、店舗もあり、福祉施設もあり、地域交流施設もありバラエティに富んだまちづくりが必要だと思います。摂田屋は醸造業のまちです。歴史ある風景と連携しながら相乗効果を高めていけたらと思っております。折りしも昨年の7月12日に宮内に秋山孝ポスター美術館長岡が開館しました。
秋山先生は長岡市宮内の出身です。この美術館は宮内商店街にある旧銀行の建物で現在は歴史的建造物になっている建物をリノベーションして使用しています。また、近々、地域密着型介護拠点(サテライト)特別養護老人ホーム+小規模多機能施設+地域交流施設を合築した「プチリプチ」〔仮称〕がリプチの森に開設されます。これにより従来の大型施設ではなく、“住み慣れた町の中”でお年寄りと子供達が交流しやすくゆったりと過ごすことができます。家々が肩を並べたシルエットで住宅群の中に溶け込むようにデザインされています。このような施設の充実が街づくりを進展させるはずです。
●アメリカの都市づくりは、突然、まちを浮上させます
秋山 建国200年足らずのアメリカの都市づくりは、突然、まちを浮上させます。ところがこの宮内や摂田屋には歴史があります。新旧もあるし、歴史や学校、文化があって酒造りもある。代々住んでいる人がいて、そこに新たなまちをつくるのですね。
●歴史の上に成り立っていくまちはいいものです
高田 歴史の上に成り立って行くまちはいいものです。それらを無視して人々が勝手に計画すると時間の流れを切断することになります。空気を積み重ねてき歴史には絶対に勝てません。空気の中には記憶があってその記憶の上にまちをつくって来たのですから、それを大切に育てて行きたいですね。
●新旧が織り交ぜてあるまち
秋山 最近、「まち起こし」と称して古いまちをそっくり舞台小屋みたいに、「これが古いまちですよ」と日本のあちこちにつくっていますが、そこに行くと落ち込みます。まちが生きているかどうか、活性化して、その人たちの役に立っているかどうかが大事です。観光客のためだけのまちづくりは、あまりいいとは思えないのです。
たとえば、宮内につくった「秋山孝ポスター美術館長岡」は自慢ではないけれど悪くない。1925年生まれで、ちょうど85歳になろうとしている旧銀行の建物を高田建築事務所にリニューアルしていただきました。非常にレベルの高い耐震構造になっています。この建物の思いを残そうと、「火の壁」と呼んでいる壁があります。第二次大戦のときにアメリカのB29戦略爆撃機が925トン、16万発余りの焼夷弾子弾により長岡のまちが燃えたときに、この壁で火が止まったのす。そのおかげで摂田屋のまちが生き延びました。ぼくはそれを聞いたときに本当に感動したのです。もう一方の壁は「地の壁」と呼んでいます。その壁の窓ガラスは中越地震でひび割れたままにしてあります。その災害を忘れないために透明なガラスを貼って、刻み込みました。素晴らしいと思いませんか?建物やまちというのは全部新品にするのではなくて新旧が織り交ぜてあるといいのです。それに呼応しているかのように、「リプチの森」ができあがっています。リプチの森もいつのまにか古いまちに混じってきれいなまちになっていくのですね。
●まち全部が美術館
秋山 ぼくのコンセプトは美術館というのは美術館の中だけではないのです。内側も外側も美術館です。外側というのは壁もそうだし、屋根もそう。空もそうですし、サフラン酒の建物も美術館なのです。僕にとっての美術館は、まち全部が美術館です。美術館を出発して、三国街道を歩き、美術館に帰ってくるとみんな顔が変っている。どんどん明るくなって嬉しそうな顔をしてくる。ものすごく不思議です。でもそこに美術館の持つ力があるのです。
●サポーターズクラブによって成り立つ美術館
高田 ユーモアと同じくらいコラボも大切です。今回、秋山先生から美術館をつくっていただき、美術館では定例的に「美術館大学」もやっています。展示をするだけでなく、講師を招いて対談をして、まちの人たちに聞いていただく。面白いですよ。美術館をつくって、運営していく中で生まれるコラボレーションです。
この美術館はサポーターズクラブから成り立っています。様々な方の思いが結集して、美術館が運営されています。
●まちづくりには中核に美が必要
秋山 一人では決して出来なかった美術館ですね。まちには歴史があって、まちの真ん中の核には美がないとまちづくりは難しくなります。美というのは生きる力だからです。だから美を育まないまちは絶対に崩壊するのですね。でもそこに美があるとその周辺が美しくまとまっていきます。
空間の中には、静かな空間があるし、聖なる空間があるのです。あるときは教会であったり、お寺であったり、あるときは美術館でなければいけないのですね。美術館があるということは図書館もなければいけないのです。美術館と図書館って兄弟のような関係ですから。図書館もまちの中にあると、もっといいですね。
[Update]-------- 100216/ okawara
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